覚性入道親王

覚性入道親王
続柄 鳥羽天皇第五皇子

全名 本仁
称号 紫金台寺御室、泉殿御室
身位 親王
出生 大治4年閏7月20日(1129年9月5日
死去 嘉応元年12月11日(1169年12月30日)(享年41)
父親 鳥羽天皇
母親 中宮藤原璋子
役職 仁和寺第5世門跡
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覚性入道親王(かくしょうにゅうどうしんのう、大治4年閏7月20日(1129年9月5日) - 嘉応元年12月11日(1169年12月30日))は、平安時代後期の皇族歌人。俗名は本仁親王。父は鳥羽天皇。母は藤原公実の娘待賢門院藤原璋子真言宗仁和寺の第5世門跡。紫金台寺御室・泉殿御室とも称された。

略歴

誕生から3か月後の10月22日に親王宣下を受ける[1]。だが、母の待賢門院(藤原璋子)は仁和寺の第4世門跡覚法法親王との間で親王の入寺に関する相談を行っており[2]、長承4年3月27日(1135年5月11日)には鳥羽上皇・待賢門院が見守る中で仁和寺に入り[3]、覚法法親王のもとで出家灌頂を受けた。仁和寺の子院の中に待賢門院が白河法皇の追善と自身の将来のために建立した法金剛院があり、親王出家の背景には待賢門院の強い意向が働いていたと考えられている[4]

法名は初め信法と称し、のち覚性と改めた。仁和寺・法勝寺などの検校をつとめる。仁平元年(1151年)には、父の依頼を受けて甥にあたる守仁親王(後の二条天皇)を預かって修行させるが、4年後に急遽皇太子に迎えられて覚性の下を去っている。仁平3年(1153年)仁和寺法務に任じられ、その後尊勝寺四天王寺などの検校をつとめた。仁安2年(1167年)初めての総法務職に任じられて綱所を賜った。修法の聞こえが高く、詔勅を受けて孔雀経法や尊勝法、愛染王法等を24回修したという。

「紫金台寺御室」や「泉殿御室」と称されるのは仁和寺内にあったその居所に由来する。初めは泉殿と呼ばれていたらしいがいつからか紫金台寺と呼ばれるようになった。和歌にも造詣深く、没後近しい者により編纂されたと推測される家集『出観集[5]には多くの詠歌が残り、泉殿がその場としてあったことが知られる。『千載和歌集』以下の勅撰集に入集。

また『平家物語』等においては幼き日の平経正を鍾愛し琵琶の銘器を下賜した記事が見え、『古今著聞集』には千手・参川(三河)という二人の寵童との記事が収録されるなど、旺盛な一面も窺われる。

脚注

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  1. ^ 『中右記』同日条
  2. ^ 『長秋記』長承3年12月6日条
  3. ^ 『長秋記』同日条
  4. ^ 佐伯智広「中世前期の王家と法親王」『立命館文学』624号(2012年)/所収:佐伯『中世前期の政治構造と王家』(東京大学出版会、2015年) ISBN 978-4-13-026238-5
  5. ^ 『新編国歌大観』、『私家集大成』、『群書類従』第十五輯に採録される。

参考文献

『国史大辞典』当該項(川崎庸之執筆)

仁和寺門跡
  • 初世 空理 899-931
  • 第2世 性信入道親王 ?-1085
  • 第3世 覚行法親王 1085-1105
  • 第4世 覚法法親王 1105-1153
  • 第5世 覚性入道親王 1153-1169
  • 第6世 守覚法親王 1169-1198
  • 第7世 道法法親王 1198-1214
  • 第8世 道助入道親王 1198-1231
  • 第9世 道深法親王 1231-1249
  • 第10世 法助 1249-1258
  • 第11世 性助入道親王 1258-1282
  • 第12世 性仁法親王 1282-1295
  • 第13世 深性法親王 1295-1299
  • 第14世 寛性法親王 1302-1326
  • 第15世 法守法親王 1327-?
  • 第16世 永助法親王 ?-1429
  • 第17世 承道法親王 1429-1453
  • 第18世 法深法親王 1453-?
  • 第19世 覚道法親王 1510-1527
  • 第20世 任助法親王 1539-1584
  • 第21世 覚深入道親王 1601-1648
  • 第22世 承法法親王 1648-1678
  • 第23世 覚観法親王 1683-1707
  • 第24世 守恕法親王 1718-1729
  • 第25世 慈仁法親王 1734-1735
  • 第26世 遵仁法親王 1747
  • 第27世 覚仁法親王 1748-1754
  • 第28世 深仁法親王 1768-1807
  • 第29世 済仁法親王 1809-1847
  • 第30世 純仁法親王 1848-1867
  • 第31世 冷泉照道 1868-1879
  • 第32世 冷泉玄誉 1879-1890
  • 第33世 別処栄厳 1884-1899
  • 第34世 釈雲照 1899-1900
  • 第35世 泉智等 1900-1906
  • 第36世 土宜法竜 1906-1920
  • 第37世 浦上隆応 1920-1926
  • 第38世 石堂恵猛 1927-1943
  • 第39世 岡本慈航 1943-1957
  • 第40世 花桝智勝 1955-1967
  • 第41世 森諦円 1967-1977
  • 第42世 小田慈舟 1977-1978
  • 第43世 立部瑞祐 1978-1983
  • 第44世 小林隆仁 1983-1988
  • 第45世 松村祐澄 1988-1993
  • 第46世 吉田裕信 1993-1998
  • 第47世 堀智範 1998-2003
  • 第48世 佐藤令宜 2003-2008
  • 第49世 南揚道 2008-2013
  • 第50世 立部祐道 2013-2018
  • 第51世 瀬川大秀 2018-
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