現住建造物等浸害罪

現住建造物等浸害罪
法律・条文 刑法119条
保護法益 公共の安全
主体
客体 現に人が住居に使用しまたは現に人がいる建造物、汽車、電車または鉱坑
実行行為 出水させて浸害
主観 故意犯
結果 抽象的危険犯
実行の着手 -
既遂時期 浸害した時点
法定刑 死刑または無期もしくは3年以上の懲役
未遂・予備 なし
テンプレートを表示
日本の刑法
天秤ばかり
刑事法
刑法
刑法学犯罪刑罰
罪刑法定主義
犯罪論
構成要件実行行為不作為犯
間接正犯未遂既遂中止犯
不能犯 ・ 因果関係
違法性 ・ 違法性阻却事由
正当行為正当防衛緊急避難
責任責任主義
責任能力心神喪失心神耗弱
故意故意犯 ・ 錯誤
過失過失犯
期待可能性
誤想防衛過剰防衛
共犯正犯共同正犯
共謀共同正犯教唆犯幇助犯
罪数
観念的競合牽連犯併合罪
刑罰論
死刑懲役禁錮
罰金拘留科料没収
法定刑処断刑宣告刑
自首酌量減軽執行猶予
刑事訴訟法刑事政策
カテゴリ カテゴリ

現住建造物等浸害罪(げんじゅうけんぞうぶつとうしんがいざい)は、日本の刑法119条に規定された犯罪。出水させて、現に人が住居に使用しまたは現に人がいる建造物、汽車、電車または鉱坑を水浸しにする行為を内容とする。法定刑は死刑無期懲役、3年以上の有期懲役である。

解釈

「出水させて」の意義

「出水させて」とは、「人によって管理・制圧された水力を解放して氾濫させること」を指す[1]

「浸害」の意義

「浸害」は水による被害のことで、建造物等損壊罪における「損壊」と同様、効用喪失させる一切の行為が含まれる。現住建造物等放火罪と同様、本罪についても人命の損失は問われないし、殺意の有無も問われない。

「浸害」の定義は、「客体が浸水することにより、その効用を減失・減損すること」[2]、あるいは「水力による客体の流出、損壊、その他の効用喪失」[1]などとされている。効用の喪失は一時的なものであっても差し支えないと解されている[1][2]

備考

過失によるときは、本条ではなく、122条の過失建造物等浸害罪が適用される。

関連項目

脚注

  1. ^ a b c 高橋則夫『刑法各論』(第2版・2014、成文堂)469頁
  2. ^ a b 伊東研祐「ロー・クラス 刑法各論で考える(22)社会法益に対する罪3――公共危険罪3(放火罪3[延焼罪]・失火罪・出水罪・往来妨害罪1)」 法学セミナー 54(7), P106-111, 2009-07
日本の刑法犯罪
国家的法益に対する罪
社会的法益に対する罪
個人的法益に対する罪
生命・身体
自由
名誉
信用・業務
財産
カテゴリ Category:日本の犯罪類型