位相因子

位相因子(いそういんし、: phase factor)とは、複素数reiθ などの極形式で書かれたときの複素指数因子 e のことである。位相因子は単位複素数、つまり絶対値が1である。位相因子を一般化したものがフェーザで、1以外の大きさも持ち得るので、円周群の一部であるとは限らない。位相因子は量子力学においてよく用いられる。

変数 θ は、一般的に位相と呼ばれる。平面波 Aei(krωt) に位相因子を掛けると、波の位相が θ だけシフトする。

e i θ A e i ( k r ω t ) = A e i ( k r ω t + θ ) {\displaystyle e^{i\theta }Ae^{i\left({\mathbf {k} \cdot \mathbf {r} -\omega t}\right)}=Ae^{i\left({\mathbf {k} \cdot \mathbf {r} -\omega t+\theta }\right)}}

量子力学における位相因子は、ケット |ψブラ φ| にかかる複素係数 e である。この位相因子 e は物理的意味を持たない。なぜなら φ|A|φφ|e Ae|φ は同じ値であるため[1]、位相因子を導入しても物理量を表すエルミート演算子期待値は変化しないからである。しかし相互作用する2つの量子状態間の位相因子の差は観測されることがあり、重要な結果を生じさせる。

光学では、干渉を扱うときに位相因子が重要となる。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Messiah (1999), p. 296.

参考文献

  • Messiah, Albert (1999). Quantum Mechanics. Dover Books on Physics (1st ed.). Mineola: Dover. ASIN B002A76D2A. ISBN 0-486-40924-4. NCID BA4899380X. OCLC 868078121 

関連項目

  • 表示
  • 編集